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[コース06]桜井均のドキュメンタリー学校 Part4 アーカイブ的な視点から「ETV2001・改ざん事件」を検証する

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タイトル:アーカイブ的な視点から「ETV2001・改ざん事件」を検証する

コース概要 : 1990年前後から2000年代初頭にかけて、日本の侵略戦争を検証する番組が多数放送された。しかし、2001年に放送されたETV2001「戦争をどう裁くか~第二回 問われる戦時性暴力~」は、教科書から「従軍慰安婦」の記述を消そうとする政治家たちの意向を過剰に忖度したNHK幹部が、放送前に政治家たちと面談した上で、内容を大幅に変更、44分の番組を40分に短縮して放送した。いわゆる「ETV2001・改ざん事件」である。
取材を受けた女性国際戦犯法廷の主宰者バウネット・ジャパンは、放送された内容が、NHKの委託を受けたプロダクションの当初の趣旨説明と大幅に異なって放送されたことに対し、「期待権の侵害」を訴因に、NHK、関連会社及びプロダクションを相手どり裁判を起こした。この「改ざん事件」から20年が経過した。なぜ、このようなことが起こったのか。この放送以前に放送された関連番組などを、アーカイブ視聴することで、メディア環境の変化と、それに抗しきれなかった制作現場の実情を検証し、いまも日本とアジアとの間に影を落としている歴史認識問題について考察する。

曜日 : 土曜日 原則隔週
時間 :14:00-16:00
開催方法 : オンライン&オフライン(会場)開催
-オンライン定員 :50名
-オフライン定員 :10名
あめにてぃCAFE・梨の木舎
https://goo.gl/maps/8taDBKmNVk22J3BP9
コーディネータ : 桜井均(立正大学社会学科)千葉花子(聖公会大修士課程)
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKエグゼクティブ・プロデューサー)

講師:桜井均 1946年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。NHKに入局。スペシャル番組センター、エグゼクティブ・プロデューサーを担当。この間、主に教養番組、ドキュメンタリーなどの制作にあたる。立命館大学映像学部、東京大学情報学環、立正大学社会学科などで教員。著書に「埋もれたエイズ報告」など。
受賞
- (1994年) 日本ジャーナリスト会議大賞、放送文化基金賞 NHKスペシャル「埋もれたたエイズ報告」
- (1992年) 放送文化基金賞本賞 NHKスペシャル「東京裁判への道」
- (1991年) 放送文化基金賞 NHKスペシャル「チョウムンサンの遺書~BC級戦犯裁判~」
- (1981年) 文化庁芸術祭優秀賞 ルポルタージュにっぽん「米ソ艦艇・謎のUターン」


◆第1回 ETV2001「第二回 問われる戦時性暴力~」のどこが改ざんされたのか

開催日 : 2021年7月 17日(土)
講師 : 桜井均
概要 : ETV2001は、主に女性国際戦犯法廷における元「従軍慰安婦」の女性たちや元日本軍兵士の証言が、放送前日と当日にほとんど削られただけではなく、明らかに不要な映像が時間埋めのために挿入された。このコースの第1回目は、まず放送された40分の番組を視聴した上で、削られた部分を復元し、後から挿入された部分の意図を見ていくことで、何がどのように改ざんされたのか。改ざんの過程で、いかなる歴史認識が押しつけられたのかを検証するなかで、今日にまで尾を引く問題の所在を明確にする。

◆第2回「改ざん」のプロセスを、編集過程から検証する

開催日 : 2021年7月 31日(土)
講師 :桜井均
概要 : 放送に至るまでに、制作現場はさまざまな試行錯誤、編集を行うのが常である。しかし、第二回の番組に関しては、放送部門のトップも関わる異例の試写が行なわれた。残された資料などをもとに、①プロダクションがつないだといわれるバージョン、②NHKの制作現場に編集作業が移行してからといわれるバージョン、③NHKのトップが政治家に面談した後のバージョン、④放送当日の3分間カットのバージョン(40分)などを、過去遡及的(retrospective)に見ていくことで、何が削られ、何が加えられたか、改ざんの本質に迫る。


◆第3回 4本シリーズ「戦争をどう裁くか」を比較する

開催日 : 2021年8月 14日(土)
講師 : 桜井均
概要 : 女性国際戦犯法廷は、法的拘束力はないが、裁判長役の法律家によれば、東京裁判の「やり直し」裁判であるとされた。この番組、「第二回 問われる戦時性暴力」は、当初、女性法廷を日本の従軍慰安婦問題とユーゴ・ルワンダなどの戦時性暴力をテーマとする2本シリーズの1本として企画され、プロダクションに委託された。ほぼ同時に、ナチス犯罪と南アのアパルトヘイトという二つの「人道に対する罪」に関する企画が提案されており、NHKのプロデューサーはそれらを同じシリーズとすることを決めたという。しかし、その趣旨が二つのチームの担当者に十分に伝わっていなかった。プロダクションは2本の企画を、女性法廷の主催者たちに示したため、「期待権の侵害」による裁判が起こった。裁判終了後、BPO(放送倫理・番組向上機構)は、放送されたシリーズ「戦争をどう裁くか」の4本をテクスト・クリティークし、二回目だけが「裁くことの難しさ」をテーマとしている異常さを指摘した。BPO報告に沿って、4本を比較検討する。

◆第4回 国際法の水準と「人道に対する罪」の適用について

開催日 : 2021年8月 28日(土)
講師 : 桜井均
概要 :1996年のジュネーブ人権委員会は、日本軍による組織的な戦時性奴隷を「人道に対する罪」として認定した(クマラスワミ報告)。国際法は、かつては国家間の関係をもっぱら規律する法と考えられていたが、現代では個人と外国の国家との関係をも規律する法と考えられるようになっている。韓国の元慰安婦の女性たちの日本政府に対する謝罪と補償を求める裁判も、まさにこの文脈でとらえられている。1996年に制作されたETV特集「従軍慰安婦と国際法」は、歴史的な資料と突き合わせながら、国際法の視点から論じた。女性国際戦犯法廷の根拠は、この放送のときに提示されていた。


◆第5回「従軍慰安婦」関連の放送、その先行番組

開催日 : 2021年9月 11日(土)
講師:桜井均
概要: 女性国際戦犯法廷を中心に記録し、伝えるとしていた元慰安婦の女性たちの証言、日本軍の加害兵士の証言などは、証言の信ぴょう性やイデオロギー性を問題視する政治家の指摘を受けたNHK幹部が、放送前日に大幅カットをした。しかし、この証言者たちがテレビに登場したのは、女性法廷が初めてではなかった。むしろ過去の放送のなかで、主たる登場人物として証言しており、そのときは問題にならなかった。1989年の「戦犯たちの告白~撫順・太原戦犯管理所1062人の手記~」で加害兵士が登場し、1996年の「アジアの従軍慰安婦・51年目の声」などで多くの女性たちが証言していた。ETV2001に先行する番組を見ながら、何がどのように後退したかを見ていく。


◆第6回 番組の改ざん、そして裁判での偽証  *特別企画

開催日 : 2021年9月 25(土)
講師 : 桜井均
概要 : 女性法廷の主催者バウネット・ジャパンは、番組の「改ざん」について、NHKとプロダクションを「期待権の侵害」で提訴した。しかし、NHK側は、一審において政治家の介入を徹底的に隠し、日常の編集手続き上の混乱のみを主張した。尋問を受けたNHKの現場制作者たちは、法廷方針に従った「偽証」を行なったのである。そのために、重要な証言を落としたのはあくまでも番組構成上のこととし、結果的には、最初の取材と編集を行なったプロダクションを切り捨てることになってしまった。高裁の結審間際に、NHK職員の内部告発があり、NHKが敗訴。しかし、最高裁では訴因の「期待権の侵害」は、NHK会長に「編集権」があるとして退けられた。具体的には、この企画は当初から「戦争責任をどう裁くか」という4本シリーズであり、女性国際戦犯法廷の記録を中心するものではなかったというNHKの嘘の主張が通ったのである。裁判の全過程を検討し、どのように歴史が歪められたかを見ていく。加えて、現政権は、教科書の「従軍慰安婦」から「従軍」の文字を消すことを閣議決定した。日韓関係の冷え込みの主な理由は、従軍慰安婦と徴用工をめぐる歴史認識の隔たりである。日韓基本条約、日韓外相談話、慰安婦像問題などをめぐり、いま日韓の間で何が起こっているのかを、さまざまな知見をもとに総合的に考える。


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