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コースタイトル:朝鮮・台湾で治安維持法はどのように運用されたか
コース概要:治安維持法が悪法であったことはよく知られていますが、どのように悪法であったかについては、取調時の拷問や法の拡張解釈による取締対象の膨張などにとどまっているでしょう。警察から裁判所に至るまでにそれが具体的にどのように運用されたのか、その猛威が日本国内にとどまらず、植民地朝鮮・台湾においてさらに発揮されていたことについて考えていきます。日本国内ではなかった治安維持法による死刑の判決が、朝鮮と台湾では下されていました。「あたらしい戦前」が現実化する現在、その悪法性の根源にせまります。
曜日:水曜日 原則隔週
時間:19:00-21:00
開催方法:オン・オフ開催
-オンライン定員:50名
-オフライン定員:10名
新時代アジアピースアカデミー
講師 : 荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
コーディネーター:
-内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)
- 許美善(恵泉女学園大学大学院)
◆第1回 朝鮮・台湾において治安維持法はどのように運用されたのか
開催日:2023年3月8日(水)19:00-21:00
講師:荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
概要:朝鮮と台湾での治安維持法の検挙・判決などの全体的な状況を概観したうえで、それぞれの運用の大きな流れを確認します。後半では具体的に朝鮮では1938年の江原道の春川中学校の「常緑会事件」を、台湾では1936年の「台湾二中「列星会」事件」をとりあげ、映像視聴を交えて、予審終結決定書や判決文を読んでいきます。最後に、現在の日本・韓国・台湾での史料の残存状況や公開状況にも触れます。
◆第2回 朝鮮①:民族主義・共産主義運動取締の武器として
開催日:2023年3月22日(水)19:00-21:00
講師:荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
概要:治安維持法の最初の適用は日本国内では京都学連事件ですが、それよりも早く朝鮮において発動されました。まず民族独立運動を対象とし、まもなく朝鮮共産党に照準が絞られます。「国体」変革の意味は日本国内と異なり、「朝鮮独立の目的」とされました。後半では1933年から35年にかけての「十字架党事件」を例に、検挙から裁判で有罪になるまでどのように警察や検察などの「現場」であつかわれたのか、史料に即してみていきます。
◆第3回 朝鮮②:戦時体制の統制動員への抵抗・批判を封殺する武器として
開催日:2023年4月5日(水)19:00-21:00
講師:荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
概要:日本国内と同様に1930年代半ばには朝鮮での組織的な民族独立・共産主義運動は抑えこまれていきますが、日中戦争全面化とともに「大陸前進」基地としての朝鮮の治安確保がさらに求められた結果、治安維持法は地表下の共産主義運動や民族主義運動のわずかな芽生えさえもえぐり出すとともに、宗教団体にも襲いかかっていきました。刑務所での思想犯のあつかいや治安維持法を補完する保安法・朝鮮臨時保安令などの積極的な活用の事例にも言及します。
◆第4回 台湾①:台湾征服戦争における匪徒刑罰令
開催日:2023年4月19日(水)19:00-21:00
講師:荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
概要:日清戦争により新たな領土として台湾を獲得し、植民地統治を始めるにあたり、台湾人の大きな抵抗んに対して「台湾征服戦争」と呼ぶべき軍事作戦があったことが近年明らかにされつつあります。あまりにも残虐な軍事掃討だったため、近代法治国家の体裁を整えるために1898年に匪徒刑罰令が施行され、1915年まで猛威を振るいました。「匪徒」に対する死刑判決は4000人を越えます。治安維持法の直接の前史ではありませんが、この歴史的事実に目を向ける必要があります。
◆第5回 台湾②:民族独立・共産主義運動取締から戦時体制構築への抵抗封殺へ
開催日:2023年5月3日(水)19:00-21:00
講師:荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
概要:1920年代になって始動する台湾の社会運動には、まず治安警察法による抑圧が加えられました。その後の治安維持法運用の特徴として、台湾共産党事件を含めて上海などの大陸とのつながりが強いこと、暴力行為等処罰法や森林法、不敬罪などの補完的な治安法令の活用の度合いが大きかったことがあげられます。戦時体制下では「帝国の本島統治に不満」をもつ動きや台湾独立・中国復帰を志向する運動を標的に、日本国内以上の厳罰が科せられました。
◆第6回 朝鮮・台湾、日本国内での治安維持法運用の比較
開催日:2023年5月17日(水)19:00-21:00
講師:荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
概要:台湾の日本統治時代の判決などの公開の中心となった王泰升(台湾大学)は、匪徒刑罰令や治安維持法の運用を「法の暴力」と呼びます。それは朝鮮において、日本国内において、さらにかいらい国家「満洲国」にもあてはまります。朝鮮・台湾の特高警察や思想検察のありようを日本国内の場合と比較するとともに、検挙から判決、受刑という一連の司法処分の「現場」における共通するもの、相違するものを考えます。また、それぞれの戦後から現在に至る治安法令・理念の継続と断絶にもふれます。
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https://apply.npa-asia.net/categories/3181723