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◆第6回 愛国とジェンダー
開催日:2023年5月16日(火)19:00-21:00
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
概要:視聴映像:
MBS毎日放送 映像’17『教育と愛国』(2017年)(斉加尚代)
NHK ETV特集「女たちの戦争画」(2022年)(藤村奈保子)
2006年に教育基本法が改変された。以後、公教育の現場で「愛国心」を教える圧力が強まっている。特に歴史教科書をめぐってはいまだにさまざまな混乱がある。『教育と愛国』は、そうした実態を克明に追った放送である。安倍的なるものが残したファッショ化は、彼の殺害によってうやむやにされようとしている。ETV2001「問われる戦時性暴力」の改ざんも、従軍慰安婦問題を教科書から削ることを求める『歴史教科書を考える若手議員の会』(安倍晋三元首相は事務局長)からの圧力の結果と見ることができる。『教育と愛国』は、まさにその問題において通底するものを持っている。
しかし、アジア・太平洋戦争は、日本の近代国家建設の過程で轢断してきたものの存在を抜きにして語ることはできない。個人が覚醒する前の翼賛体制(ファシズム)の陥穽である。大東亜の解放と言いながら、ヨーロッパ諸国の植民地主義を模倣した。しかし、彼の地では戦後になって、他者を犠牲にしてしか成り立たなかった国家建設は、徹底して総括されてきたのである。
日本では戦前・戦後は連続として受容されたが、ドイツ、イタリアなどでは断絶が主たる目的となった。そうした「しかたなくない」歴史観は、社会の周縁部にいて権力に同調せざるをえなかった人々、そして戦後になってまともに話に乗ってもらえなかった人々をも呼び出した。日本で言えば、従軍慰安婦の女性たちのカミングアウトを、金銭目的と言うヘイトスピーチで、二度目の沈黙を強いてきた。このまま、放置すれば、さらなる「レイプ」を再生産することになる。
愛国教育の原型は、戦中の銃後の翼賛体制にある。文学報国会、国防婦人会の活動に領導されるように、女性の戦争賛歌も少なからずあった。戦後民主主義を考える場合、こうした総動員体制が内部に生産した「無意識の加害意識」までも考えなければならないことが、わかってきた。しかし、時間はない。その事実を語る者も、事実を裏づける人も時間の淵のなかに消えていく。しかし、意識を継承する人々はいま、新たな総動員体制によって、背後から押さえつけられそうな状態である。
『女たちの戦争画』に登場する女性たちの分裂と加担意識との縫合はどのようになされれるのか。