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[コース16] 桜井均とドキュメンタリーを読むPart8- 調査報道を調査する

¥9,000

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コースタイトル:調査報道を調査する

コース概要:調査報道の英訳はInvestigative Reporting――取材源が、警察、検察、政府行政機関、企業などからの発表やリークによるのではなく、取材する側が「主体性」と「継続性」をもって多様なソースから情報を収集し、仮説実証の思考プロセスを可視化しながら、すなわち視聴者と時間を共有しながら、新事実を発見していく方法をさす。ドキュメンタリーは、観察し、反応し、耳を傾けるという行為によって、視聴者に以前とは違った形で世界を見ることを可能にする。今回は、「認識ツール」としてのドキュメンタリーについて考える。
調査報道は、記録機材の技術革新によって可能になったとも言える。いまでは当たり前の「映像」と「音声」のシンクロ技術は、もっとも遠くのものと、もっとも近くのものとを結びつけることを可能にした。これは、映像人類学が、他の誰も行けない遠隔の地で見聞きしたものを、疑いの余地なく提示しうることと符合する。対象に肉薄することと真実を掘り起こすことは、人間の営為としては重なるところが多いのである。調査報道がなんであるかを調査することを通して、つまり調査報道の自己検証を共有することによって、現在のフェイクニュースの氾濫に対峙する根拠を探っていきたい。

*参考図書:桜井均著『テレビの自画像 ドキュメンタリーの現場から』(ちくまプリマーブックス/2001年)、NHK取材班編・桜井均著『埋もれたエイズ報告書』(三省堂/1997年) *いずれも図書館や古書で入手可能です。

曜日:火曜日 原則隔週
時間:19:00-21:00
開催方法:オンライン、定員:50名
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
コーディネーター: 山岡幹郎(写真家)


◆第1回「特集ドキュメンタリー 埋もれた報告~熊本県公文書の語る水俣病~」(1976年)

開催日:2023年10月31日(火)19:00-21:00 
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
概要:1970年代前半、「若者の反乱」を反映してテレビの表現にも変化が起こった。茶の間の静寂を破ることがドキュメンタリーだという考えが生まれても不思議はなかった。1972年の「海鳴り」や73年の「キャロル」はそうした番組だった。しかし、その表現が「客観性に欠ける」という理由で、NHK内で否定された後、この挫折から一歩先に進むために、つまり表現の自由を死守するために、現場では、誰にも文句を言わせない「調査報道」の手法が取り入れられた。「埋もれた報告」の取材班は、突撃インタビューなど取材プロセスをあえて見せる手法を駆使して、水俣病が闇から闇に葬られてきた歴史を白日のもとにさらした。
*上記の「海鳴り」と「キャロル」については資料として提示の予定です。

◆第2回 ルポにっぽん「精神病棟の中で~京都・十全会病院の場合~」(1980年)

開催日:2023年11月14日(火)19:00-21:00 
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
概要:京都十全会病院は、精神病院の看板を掛けたまま、劣悪な看護条件下、実際は老人病院を経営していた。院長は、ここは最終処理場だと公言してはばからず、社会のニーズに答えているだけだと開き直った。取材当日、病院側が示してきたカルテは大幅に修正されたものだった。病院長をはじめとする幹部の医師たちは、5年前のカルテを昨日のことのように滔々と読み上げ、違法な医療は一切行われていないと主張した。その一部始終を記録し、放送に踏み切った。

◆第3回 ルポにっぽん「米ソ艦艇・謎のUターン~日本海・マスはえ縄切断事件~」(1981年)

開催日:2023年11月28日(火)19:00-21:00 
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
概要:5月、積丹半島沖はマスのはえ縄漁の最盛期だった。折から秋田沖で予定されていた日米合同演習に向かうアメリカ艦隊が不可解なUターンを行なった。以後、何時間も軍艦がはえ縄漁の上を行き来し、縄をズタズタに切断してしまった。取材班は、この海域にはアメリカ艦隊の他にソビエトの重巡洋艦がいたことを突きとめた。そして、上空には日米ソの対潜哨戒機が飛来していたこともわかってきた。・・・いったい米ソ艦艇はこの場所で何をしていたのか?

◆第4回 NHKスペシャル「埋もれたエイズ報告~血液製剤に何が起こっていたのか~」(1994年)

開催日:2023年12月12日(火)19:00-21:00 
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
概要:1983年3月当時、日本の血友病患者は、アメリカ由来の血液凝固因子製剤の自家注射が認可され、保険適用が認められた。血友病の「福音」と受け止められていた。しかし、輸入血液製剤のなかにアメリカのHIV患者の血液が混入していたのである。83年5月、厚生省は突然のように第一回エイズ研究会を立ち上げた。そのとき座長の帝京大学・安部武は、自分の患者のなかにエイズ患者がいると主張したが、会議でもみ消されてしまった。何があったのか。また、アメリカで急きょ加熱製剤が認可されたのに、なぜ日本は非加熱を輸入し続けたのか。この放送は、薬害エイズ裁判の裁判長の判断で「検証物」として採用され、法廷で視聴され、和解案の骨子となった。

◆第5回 NNNドキュメント「南京事件Ⅱ ――歴史修正を検証せよ――」(2018年)

開催日:2023年12月26日(火)19:00-21:00 
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
概要:「南京事件」、「南京大虐殺」という言葉は、日本の右派勢力が全く受け入れない単語である。NNNドキュメントはこの放送の一年前、南京事件を扱う番組を放送したが、それへの批判が取材班に殺到したという。なぜそのような修正主義がまかり通るのか。制作者は、そんな攻撃に怯むことなく、逆にその根拠を探る調査報道を敢行、防衛省をはじめとして、各部隊の陣中日誌などを徹底的に渉猟し、ついにある書籍に到達した。南京事件の事実を明らかにする一つの道として、いかにしてニセ情報が再生産されたかをつきとめるという、自在な姿勢を取ったのである。ラディカルで前衛的な取材方法こそが「表現の自由」の原点であることが見えてきた。

◆第6回 NHKスペシャル「‟冤罪”の深層~警視庁公安部で何が~」(2023年)

開催日:2024年1月16日(火)19:00-21:00 
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
概要:神奈川県横浜市の中小企業、大川原化工機が製造し、中国に輸出した「噴射乾燥機」が、生物兵器の生産に利用されうるという軍事利用可能な機械の不正輸出の嫌疑で、警視庁公安部と経済産業省が「経済安全保障」の観点から調査協議をした結果、2020年3月11日、外為法違反容疑で同社社長ら幹部3人を逮捕、拘留した。そのうちの一人が長期拘留中に発病し死亡した。このころ大川原化工機側弁護士を通して、警視庁関係者から匿名の封書が被疑者たちにもたらされ、事態が大きく変わり起訴取り消しとなった。
 その後、被疑者たちは事実の解明と損害賠償を求めて東京都を訴えた。2023年6月30日、東京地裁712号法廷で現職の警視庁捜査員が、自らが関わった事件を「捏造ですね。捜査員の個人的な欲というか、動機がそうなったんではないか」と振り返ったのである。この決定的な法廷に到るまでに、捜査機関内部に何があったのか。取材者は警視庁公安部という名うての組織を相手に、取材プロセスの徹底開示を行い、ある意味で視聴者を味方にして闘う姿勢を貫いた。判決は2023年12月27日に言い渡される。


単発での受講申込みはこちらから
https://apply.npa-asia.net/categories/2813816


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*開催日が過ぎてもアーカイブ視聴が可能です!お申込みしていただいた後、事務局よりアーカイブ録画を1カ月期限でご案内いたします。(お申込み期限2024年1月28日)
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