* Please remember this item is only sold from 10/07/2023 00:00 to 02/10/2024 00:00.
*Tax included.
*Shipping fees are free on this item.
コースタイトル:改めて、日本国憲法を考える
コース概要:このコースはPart1からPart9まで、どうすれば憲法が自分たちに身近なものとなるかを考えてきました。憲法を「他者」や「内と外」といった視点から捉えかえす試みにもそうした意図がありました。一方で、本来であれば憲法を引き合いに出さなければならない切迫した状況があるにもかかわらず、そうはならないこの社会の現状があります。区切りとなるPart10の今期は、各回のテーマが以下のとおり多岐にわたりますが、各専門分野でご活躍の方々にご登壇いただき、活発な議論を通して憲法への回路を拓く手掛かりが得られればと思います。日本国憲法を問い、その作業をとおして本来の憲法を活かすにはどのような実践が求められるのか、改めて考えます。
曜日:金曜 原則隔週
時間:19:00-21:00
開催方法:オンライン開催・定員50名
コーディネーター:
- 権香淑(上智大学)
- 山岡幹郎(写真家)
◆第1回 日本国憲法の複合差別裁判
開催日:2023年11月3日(金)19:00-21:00
講師:上瀧浩子(弁護士)
概要:複合差別とは、女性と少数民族、女性と障碍者など、二つ以上のマイノリティ属性をもつ人に対して行われる差別です。日本国憲法には、平等権の規定があり、女性差別や民族差別は、憲法14条で許されないことになっています。また、最近出た判決では、憲法13条(幸福追求権)と憲法14条(法の下の平等)で「人はだれしも不当な差別を受けない人格的利益を有する」と差別されない権利を認めました。当たり前の権利のようですが、裁判所がこの権利を認めたことは、「画期的」とされています。ところで、憲法の下にある法規範として、みなさんは法律を真っ先に思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、憲法と法律の間には条約が存在します。複合差別は、条約とそれを補充する「一般的見解」といわれる規範に則って出された判決です。憲法は一つの国の中で適用される法ですが、それは国際社会とは無縁ではありません。複合差別という問題を通して、憲法と条約との関係などをお話ししたいと思います。
◆第2回 日本国憲法の理解を更新する試みー夜間中学と地域の読書会の実践から
開催日:2023年11月17日(金)19:00-21:00
講師:大門正克(早稲田大学特任教授、横浜国立大学名誉教授)
概要:日本国憲法には、国際主義や普遍主義の前文があるが、憲法は「国民」に権利や義務を与えており、在日外国人には高い壁がある。他方で、憲法では「両性の平等」が認められているが、社会的につくられた性別役割をめぐり、厳しい現実がある。憲法は、動かない岩のように見えるかもしれないが、ここでは、夜間中学と地域の読書会の二つの実践を通して、「国民」と性別役割をめぐる憲法理解を更新するにはどうしたらいいのか、その回路を探ってみたい。
◆第3回 普遍的人権と日本の人権 - 国際人権法の観点から
開催日:2023年12月1日(金)19:00-21:00
講師:申惠丰(青山学院大学教授)
概要:第二次世界大戦後の国際社会で発展してきた国際人権法は、日本の国内法制にも大きな影響を与えました。しかしその一方で、日本が受け入れ、対外的にも表明している立場と相容れないような人権状況が、国内では続いているという事態も多々発生しています。諸外国に対して、人権を守れと日本政府が求めるという局面もみられる今日、人権に対する共通の理解がますます問われていると言えるでしょう。普遍的に認められる人権の考え方とはどのようなものか、そしてそれは、日本における人権と異なるのか、それとも相通ずるのか。両者をつなぐ回路は?ご一緒に考えたいと思います。
◆第4回 「戦後憲法」の前提を問う(1)日本近代における戦争と民主主義
開催日:2023年12月15日(金)19:00-21:00
講師:中野 敏男(東京外国語大学名誉教授)
概要:「平和と民主主義」、これは日本国憲法の下で戦後日本の歩みを導く基本理念であると考えられてきた。しかし、日本の近現代史の実際において、「民主主義」は「戦争」とどのように関わってきているだろうか? 自由民権運動、大正デモクラシーといった、日本近代の「民主主義」の時代を振り返りながら、植民地主義と総力戦体制の形成に進んだ日本の歩みを再検討し、そこで日本の民衆が実際に果たした役割について考えたい。
◆第5回 「戦後憲法」の前提を問う(2)「戦後」の始まりと継続する植民地主義
開催日:2024年1月5日(金)19:00-21:00
講師:中野 敏男(東京外国語大学名誉教授)
概要:アジア太平洋戦争での日本の敗戦により成立した「日本国憲法」の体制は、実際には、「天皇制民主主義」と「日米軍事同盟に支えられた経済主義」という矛盾のある奇妙な仕組みを実現させている。これはどのような経緯から生まれ、どんな問題を含んでいるのだろうか。「戦後」という時代を、「大東亜共栄圏」が主張された植民地支配と戦争の東アジアを見通す視野から再検討し、そこに継続する植民地主義の問題を直視して考えたい。
◆第6回 日本国憲法と主権のジレンマ
開催日:2024年1月19日(金)19:00-21:00
講師:鄭暎惠(社会学者)
概要:GHQ主導で起草された日本国憲法は、日本の国家主権回復以前の1946年11月3日(明治節)に公布された。国民主権を掲げながら、なぜ明治天皇誕生日だったのか。起草時の英文での主権者‘people’が‘国民’と翻訳されたのはなぜか。大日本帝国憲法下での領民‘臣民’は、主権在民の主体たる国民となりえたか。1955年立党時の自由民主党の政綱に、‘独立体制の整備’として「憲法の自主的改正をはかり」「駐留外国軍隊の撤退に備える」と明記された。一党独裁とされるほど国民は自民党を「支持」したが、むしろ憲法「改正」には消極的だったとすら言えるのはなぜか。この国の主権者は誰か。日本国の主権とは何か。日本における主権のジレンマを考える。
単発での受講申込みはこちらから
https://apply.npa-asia.net/categories/2813802
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
*開催日が過ぎてもアーカイブ視聴が可能です!このページよりお申込みしていただいた後、事務局よりアーカイブ録画を1カ月期限でご案内いたします。(お申込み期限2024年1月28日)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥