2020/09/23 00:03

9月19日(土)に開催した 第1期 NPA修了式企画 梨の木ピースデイ『これからの東アジアの平和と市民交流のあり方』は、おかげさまで盛況に終えることができました。
当日はオンライン・会場を合わせて、延べ80名の方々が参加してくださいました。大変ありがとうございました。

オープニングでは内海愛子NPA共同代表がスピーチを行い、現代社会の市民たちが、分断されているからこそつながりを求めており、そのつながりは内側に向かって凝縮する力だけでなく、外の世界ともアクティブに連帯していこうとする力も作用しているということを述べました。そしてその具体例として、講師や受講生がカナダ、オーストラリア、ドイツ、韓国、日本全国から集い学び、つながる梨の木ピースアカデミーの実践の意義について言及しました。

第1部では「戦後75年、今私たちに問われているものとは 東アジア、沖縄、福島から戦後75年の日本を語る」と題し、乗松聡子さん、黒田節子さん、米須清真さんをオンラインでお迎えしてトークセッションを行いました。(※桜井均様はご都合により、登壇に代わってメッセージを寄せられました)

カナダを拠点に活動されている乗松さんからは冒頭で、戦後の「戦」とは果たしてどの戦争を指すのかという本質的な問いが提示されました。同時に、日本人にとっては1945年以降が「戦後」であっても、朝鮮半島の人々にとっては南北が分断され朝鮮戦争がはじまり、また沖縄ではサンフランシスコ講和条約調印による米軍支配と現在につづく米軍基地の過重負担につながったなど、まだ戦争が終わったとは言えない状態にあるという指摘がなされました。

NPAコース6『メディアと戦争』の講師である桜井さんからは、戦後75年にあたり、戦争体験者の声を聞き、記録しようとする放送が多かったなかで、被害体験を語るケースが目立ち、アジアに対する加害の意識を語る人は少なかったという指摘をいただきました。そうしたなかで、過去の放送を見直すことで「被害と加害のはざまで、もっとも弱いところに暴力が内面化していたことを発見すること」がNPAメディア講座の目的であったと述べられました。

沖縄出身の米須さんからは、辺野古新基地建設の問題は差別・植民地主義の問題であり、平和学のヨハン・ガルトゥングの「政府が恐れるのは反対ではなく代替案を国民が出してくることだ」という言葉を引用して、その代替案を求めるためのアイディアとして、辺野古・普天間の問題を公正で民主的な解決を求める『新しい提案』を自身が推進されているということの説明がなされました。

福島県の黒田さんからは、3.11後の福島の現状について報告いただきました。市民の不安やニーズを無視して進められる経済政策や原発政策について取り上げ、「現実を見ようとしないままでは真の復興はますます遠のくのではないか」と政府の姿勢について批評しました。最後は、困難な状況の中で希望を持ち続けることについて、ノーマ・フィールド氏の著作「バージャーの『屈することなき絶望』を読む」からの言葉を引用しながらお話を終えられました。

登壇者の方々の熱意と葛藤を伴ったスピーチの一言一言に触れて、オンライン・オフラインを通じた参加者全員が、今日私たちがいる立ち位置について捉え直す大変良い機会となりました。

第2部では、NPA第1期10コースの講師、コーディネーター、受講生らによる報告会が行われ、それぞれの講座の感想や、学びと出会いを通じた成長、今後市民がつながり主体的に動いていくことがいかに重要かということについて話し合われました。

第3部では、NPA第2期20コースの概要と、これまでの講座を録画配信するプラットフォーム『PAFLEX』(仮・10月開始予定)についての紹介がありました。

最後は羽田ゆみ子NPA共同代表のあいさつと、NPA特別企画『ボイス・カフェ』講師のYUKARIさんによるNPAテーマソングの披露、沖縄三線と手踊り、韓国のチャンゴ演奏をもって、和やかなムードの中で会を閉じました。

当日の様子については、後日ダイジェスト版動画を配信予定ですので、今しばらくお待ちください。

NPA第1期にご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。
パワーアップするNPA第2期も、どうぞよろしくお願いいたします。