2021/04/29 17:25
先日のミャンマー連帯企画では、おかげさまでウェビナー申込者は230名を超え、同時視聴者は190名近くとなりました。
冒頭、大橋先生より現在のパンデミックとワクチン外交に翻弄される現在の世界情勢に触れつつ「経済や市場のグローバル化が進み世界共通の(とは言えそこはあくまで強者による)ルールが適用されていく一方、人権や民主主義、法の支配といったものは世界共通となっていない」現実についてのご指摘がありました。その一例としてロヒンギャ問題、そして今日のミャンマー状況について言及されました。
次に、現地に住むミャンマーの方から、ミャンマーの状況についての説明とメッセージを録画したビデオを紹介致しました。2月1日のクーデター発生以降、市民はCDM(Civil Disobedience Movement)運動やデモにより抵抗するも、国軍は武力による弾圧を強め、抵抗する市民への暴力など残虐な行為が繰り返されて700名以上の死者を出していること、また活動家やジャーナリスト、デモ参加者など次々と逮捕・拘束されていることを示してくれました。そうした中、ミャンマー国内では、国軍の姿から自らを振り返り、少数民族(特にロヒンギャの人々)に対する国軍の暴力に対して無関心だったことに対して謝罪の手紙を出した若者達や、国際社会に対して保護を訴えるR2P(Responsibility to Protect)運動も紹介されました。そして新政府(NUG/CRPH)への支持など、日韓市民への応援に対する感謝と継続の要請がなされました。
「ミャンマー民主化の歩みと現代史概略」では戦前の植民地時代から、ビルマ式社会主義時代、その後の1988年の大規模民主化運動から2011年の民政化、そしてその後の経済発展などについて振り返ってみました。
齋藤先生による「歴史の文脈の中で何を学ぶか」の中では、今ミャンマーで起きていることはまさしく「ファシズム」ではないか、という観点から論じていただきました。先の大戦中日本軍がミャンマーに設置した慰安所であった教会や、慰安婦だった方の証言本などを紹介しつつ、現在の国軍以上に日本軍が残虐であったことに触れ、現在の国軍のメンタリティは日本軍が残したものではないか、との指摘がありました。一方で、歴史として学んだようなことが、今目の前で繰り返されているということは、逆説的に考えれば、大変意味があるのではないか、すなわち単に「可哀想だ」と言うだけでなく、多くを学び考えて行動する機会を与えられているのではないか、との問いかけがなされました。
韓国の朴先生からは、ミャンマー国軍が民間人虐殺を行ったのも、市民の不服従運動(CDM)も初めてではないという歴史を話していただき、現憲法により「国家非常事態」を収めるための「合法的な措置」としてクーデターを残してきた軍は、不正選挙を理由に「非常事態」を宣言していることについて、そもそもの不条理を糾弾しています。また聖公会大にある小活動グループ「国境なき民主主義学校」の活動や韓国市民が自ら立ち上がり行っている活動の紹介もありました。一方で国際社会は、それぞれ自国の利益を優先し、有効な対応策がとれていないことの問題を指摘しつつ、新政府(NUG)を承認すべきとの主張がなされました。また「ミャンマー国軍は、アウンサン将軍が創設したものではあるが彼は軍が政治に関与することは望んでいなかったはずである。軍が政治に関与したときからファシスト化し、1960年代は豊かだった国民生活の質が落ち、民主主義も後退し、失政であったこと1990年、2015年の選挙でも(アウンサンスー・チー率いる)NLDに惨敗しており、市民の意思表明は明らかである。軍は軍に戻るべき」とのお話がありました。
その後、日韓に住むミャンマーの方々から、実施している活動、故郷に残る友人達や外国からも応援している同胞との連携と支援の決意、日韓市民への訴えが示され、次に日韓大学生からも、活動取り組みの紹介とミャンマーへの応援メッセージ、などが紹介されました。
最後に、李泳采先生からは、現在のミャンマーが1980年の韓国光州事件を思い起こさせること、その時韓国では何の報道もなされなかったのに対し、実は日本の市民団体が英語雑誌を作成し光州事件を報道していたこと、それを知って衝撃を受けたことについて語られました。そこに市民の連帯があったことで、生かされた命があったかもしれないと思われること、それは正に今、現在ミャンマーで闘っている市民、若者達や子供達にも、我々市民の国際連帯によって救われる命があるかも知れない、と説明されました。市民が立ちあがり連帯していくこと、諦めずに団結していくことの重要性を指摘されました。
昨年来、コロナにより、従来型での対面ネットワークが分断され孤立する人々が増えていく中、オンラインでつながり、お互いにつながりあって学び、連帯を実践するために立ち上げたのが梨の木ピースアカデミーです。福島や沖縄などそれぞれの地域で闘っている人々も、現在ミャンマーで闘っている人々も、大切なことは「誰一人孤立させないこと」です。市民が連帯しつながりあい、力を合わせて声を上げ続け行動していくことです。最後に、これからも「ミャンマー市民、日韓市民、共に連帯していくこと」を誓って締めくくりとなりました。参加された皆さんにも、このイベントを通して、市民連帯の呼びかけとミャンマーの人々への応援メッセージが届いたようであれば幸いです。
今後とも梨の木ピースアカデミーでは市民の声を届けるための様々な企画をしていきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。