販売期間
2026年3月2日 00:00 ~ 2026年8月13日 23:59
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コースタイトル:アメリカ一国主義の起源を求めて ~映像のなかで21世紀の潮流を読む~
コース概要:世界は、トランプ米大統領の支離滅裂な行動にかき回されるカジノの様相を呈している。しかし、細部に立ち入ってみると、そこには分断・統治の植民地主義と制裁外交を巧みに操るディーラーの姿が浮き上がってくる。それに追随する国、反発する国、傍観者を装う国と対応はそれぞれだが、国際政治の破綻を助長しているとしか思えない。このような一国主義がどこまで続くのか。その行き着く果ては?
今回の講座では、その核心を知るために30~40年のスパンでアーカイブ映像を視聴しながら考えていく。アーカイブは、「通時的」(diachronic)な視点と「共時的」(synchronic)な視点を交差させながら、自在に思考していく場を提供するメディア・ツールである。各回、アーカイブの案内人(アーキビスト)の目を借りながら、この過酷な世界の潮流を見ていきたい。
曜日:火曜 原則隔週
時間:19:00-21:00
開催方法:オンライン開催・定員50名
担当講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
講師プロフィール:
1946年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。NHKに入局。スペシャル番組センター、エグゼクティブ・プロデューサーを担当。この間、主に教養番組、ドキュメンタリーなどの制作にあたる。立命館大学映像学部、東京大学情報学環、立正大学社会学科などで教員。著書に「埋もれたエイズ報告」など。
ジェネレーター:山岡幹郎(写真家)
◆第1回 トランプのベネズエラ攻撃
開催日:2026年4月21日(火)19:00-21:00
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
概要:南米ベネズエラは、チャベス大統領のボリバル革命でつくりあげたコムーナを横につなぐ一種の社会主義の体制をとってきた。政権を支えてきたのは膨大な石油資源の国有化による国民への富の分配だった。しかし、マドゥロ政権に移行すると、アメリカは経済制裁でハイパーインフレを常態化させ、諜報工作で国内の分断をはかり、マドゥロ独裁vsマチャド反体制という構図をこと上げし、事実上のクーデタを起こした。そして今度はキューバの共産党体制を打倒しようとしている。ここには、分断・統治という植民地主義の典型的な手法が見え隠れする。トランプの野望は、南米だけにとどまらず、西半球の盟主になることであり、グリーンランド買収など新たな火種をつくり、イランの核開発に対する大規模攻撃まで公言している。このシラバスを書くうちにも、トランプ関税に対し米連邦最高裁の違憲判決があり、エプスタイン・スキャンダルの噴出があり、トランプが暴走するなか世界は混迷の度を深めている。
アーキビスト:ジェフリー・サックス(「国際経済学/開発論」)
◆第2回 ベルリンの壁崩壊は平和をもたらさなかった ~ナショナリズム、ユーゴ崩壊、人道介入、コソボ空爆~
開催日:2026年5月5日(火)19:00-21:00
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
概要:1989年にベルリンの壁が崩壊、93年のEU統合に先立って東西ドイツが統一し、中央ヨーロッパに巨大な国民国家(Nation State)が誕生すると、皮肉なことに、崩壊過程にあったユーゴスラビア連邦の内戦に飛び火した。クロアチア、スロベニアの独立を統一ドイツがいち早く承認したからだ。このユーゴ内戦の一つであるボスニア紛争が長引くと、アメリカは、広告代理店に「民族浄化」(Ethnic Cleansing)というレッテルを造語させ、「人道的介入」の美名のもとに、国連決議をへないコソボ空爆を断行した。しかし、その無差別爆撃の下には、世界各地から集結していた多数のイスラム義勇兵がいた。この年99年がイスラム勃興の年となった。ナショナルでもなくインターナショナルでもない国境を超えたトランスナショナルという潮流としてイスラムの動きをとらえることが不可避となった。冷戦後のアメリカ一国主義の反動として、本来一体化しないはずの宗教とナショナリズムの両者が前例のない結合をしたようにも見えた。
アーキビスト:ドイツ思想史・三島憲一「ドイツ統一後、旧東ドイツの知識人へのインタビュー」/評論家・加藤周一「私にとっての20世紀」
◆第3回 「対テロ戦争」から「悪の枢軸」論、そしてイラク戦争へ
開催日:2026年5月19日(火)19:00-21:00
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
概要:アメリカのジョージ・ブッシュ大統領は、「テロとの戦い」を叫び、テロリストの側につくか、自分たちの側につくかという独善的な二者択一を世界に迫った。そして、イラク、イラン、北朝鮮を悪の枢軸と名指し、イラク戦争に向かって邁進した。トランプの原型がここにもある。アメリカは、大量破壊兵器の保有を理由にイラクに対する攻撃を承認する国連決議案の提出を試みるが、多数票を確保できないと見るや、それ以前の、イラクに核不拡散を求める国連決議(1441決議)を拡大解釈、03年3月にイラク攻撃に踏みきった。事実上の国連決議なき軍事行動である。
こうした「対テロ戦争」を支える思想は、「安全(security)至上主義」に基づいたものではあるが、そこには国民一人一人の安全という視点はまったくない。結果的に、現代世界は強制収容所の「囚人」や「難民」といった極限状態に置かれた人々を生み出し、いわゆる「内戦の世界化」を進行させている。そうしたなかで、ローマ教皇ヨハネ・パウロⅡ世は、アメリカとイラクの指導者に特使を送り、開戦の直前まで平和を訴えた。アメリカのイラク戦争決議の正当性を拒否したのは、奇しくもローマ教皇がしばしば訪れた南米二カ国の、微力だが大きな決断だった。
アーキビスト:ジョルジョ・アガンベン「人権の彼方に」、「アウシュビッツの残りもの」、「ホモ・サケル」/バチカン外交を主導した枢機卿たち
◆第4回 ソ連崩壊からロシアの崩壊へ
開催日:2026年6月16日(火)19:00-21:00
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
概要:1992年、ソ連邦が崩壊すると、ベラルーシの作家・ジャーナリストのスヴェトラーナ・アレクシエービッチは、旧ソ連時代に沈黙を強いられていた「小さきロシア人」の声を聞き書きし、次々と世に出した。父はベラルーシ、母はウクライナの出身。現在はウクライナ戦争に反対しているため、ヨーロッパ各地で亡命生活を送っている。
アレクシェービッチの作品を見ていくと連邦崩壊にいたる深層潮流が見えてくる。第二次世界大戦に従軍した女性たちの戦争から受けた影響と彼女たちの帰国後の運命を描いた『戦争は女の顔をしていない』(1983)は、ゴルバチョフのペレストロイカのもとでようやく日の目を見た。大戦中の爆撃をボタン穴からのぞいていた少女の証言をもとにした作品『ボタン穴から見た戦争』(1985)には、ソ連邦崩壊後、子どもたちの目から見た戦争の現実が書き加えられた。
アレクシエーヴィチは、人間の証言はドキュメントではなく「生きもの」だと言う。連邦末期のアフガン戦争を題材にした『亜鉛の少年たち』(1991)では、鉛で固められた棺に入れられて帰還した兵士たちの家族が低い声をあげた。帰還兵のなかには、新興宗教に入る者、殺人事件を起こす者がいた。『死に魅せられた人びと』(1994)は、第二次世界大戦で国家英雄として顕彰された元兵士が、ソ連崩壊後に侮蔑の対象になり、かつての激戦地まで旅をして鉄道自殺する話。『チェルノブイリの祈り』(1997)は、チェルノブイリ原発事故から10年後に被災地の住民や原発事故の消防士の「逃げるところなき」家族たちを記録した。
今回は、彼女の作品の舞台となった地域をたどりながら、連邦崩壊の意味を「小さき人々」の目を通して考える。
アーキビスト:ノーベル文学賞を受賞したジャーナリスト スベトラーナ・アレクシェービッチ
◆第5回 プーチンの屈辱とウクライナ侵攻
開催日:2026年6月30日(火)19:00-21:00
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
概要:2000年、プーチンは、ロシア正教の総主教アレクシー2世(旧KGB支持者)の立ち合いのもと、エリツィンから大統領職を移譲された。その映像には、核のボタンが入ったアタッシェケースを持った男が映っている。まさにそのころ、ロシアは経済危機とNATOの東進という難題に悩みながら、内には、チェチェンからコーカサス回廊を抜けてジョージア(グルジア)、アルメニアに至る地帯でのロシア正教とイスラムの対立問題を抱えていた。モスクワ・アパート爆破事件を経験していたプーチンは、01年の9・11同時多発テロが同じイスラムによるものと考え、ニューヨークを訪れジョージ・ブッシュに接近しようとした。02年、アメリカは旧ソ連と結んでいたABM(弾道弾迎撃ミサイル制限条約)から一方的に脱退し、経済的に核兵器開発の余力がないロシアを追いつめた。プーチンはG7(先進国首脳会議)に参加するが、ロシアは先進国ではないとしてG7+1などとささやかれるという屈辱を経験し、2014年にはロシアのクリミア併合を機に参加資格を停止された。
一般的にはロシアのウクライナ「侵攻」と言われるが、上記のような事情を考えるとアメリカ+NATOとの「対決」ともとれる。そこにトランプが参入し、停戦というよりは新たな混乱を持ち込んでいる。米ロ関係の底流、ヨーロッパ諸国の動きなどを探る。
アーキビスト:プーチン大統領決定の瞬間の「映像」に、関連映像を紐づけしロシアの複雑な系統樹をつくる。今回は、その系統樹自身が自らの生成を語るアーキビストとする。
◆第6回 トランプのモンロー主義に抵抗する非同盟連合の原型コムーナ
開催日:2026年7月14日(火)19:00-21:00
講師:桜井均(映像ジャーナリスト・元NHKディレクター/プロデューサー)
概要:再びベネズエラに戻る。ここにはチャベス大統領のボリバル革命によってスラム街から始まったコムーナ(共同体)が、4500もでき、横にネットワーク化され、一部は国境を超えて拡大している。それは、かつての非同盟諸国連合と親和性がある。言い換えれば、「グローバルサウス」の原型がここには脈々と流れているようだ。
しかし、アメリカはベネズエラをはじめとする南米諸国でハイパーインフレを起こさせている。そのために独裁者と民衆という構図がたえず再生産されている。マドゥロ独裁と人権侵害という構図はアメリカ製と言われている。それは、反民主主義的な体制による残虐行為と見せながら、民衆を震え上がらせて抵抗力を奪い、小さな政府、市場主義(民営化)という仕組みを綿密に計画していくグローバリズムの典型である。この手法を、ナオミ・クラインは「ショックドクトリン」と説く。キューバは、南米からの石油供給を受け、医療分野で南米諸国に貢献しているが、こうした横の共生をトランプは断ち切ろうとしている。
中南米も一枚岩ではないが、西半球独占を狙うトランプのディールにどう対処していくのか。つまるところ、中国との関係を深める中南米諸国に、トランプがドンロー主義などと称して切り込めば、やがて大きな衝突の火種になる。
この回が終わるころには、世界はもっと恐ろしい形で変わっているのか、新たな動きが生まれているのか、一寸先は闇か光か探りながら、「21世紀の潮流」を見ていきたい。
アーキビスト:「戦争と西洋」の著者・西谷修/駐日ベネズエラ大使イシカワ・セイコウ氏の講演記録
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