[コース03] 木戸衛一と考えるドイツの現代史と政治 「ドイツの〈反・反ユダヤ主義〉―その背景と現状」

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2026年9月1日 00:00 ~ 2027年1月30日 23:59

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コースタイトル: 木戸衛一と考えるドイツの現代史と政治 「ドイツの〈反・反ユダヤ主義〉―その背景と現状」

コース概要:ナチズムの過去に向き合い、戦後デモクラシーの範と目されていたドイツが、2023年10 月ハマスの越境攻撃以降、一方的にイスラエルを支持していることに驚かれた方が多いと思います。私を含め多くのドイツ研究者も、従来のドイツ認識に修正を迫られました。この国の〈反・反ユダヤ主義〉の頑迷さ・非合理さは、「ナチズムへの反省」という説明では到底間に合いません。その背景と現状について一緒に考えてみましょう。

曜日:金曜 原則隔週
時間:19:00-21:00
開催方法:オンライン開催・定員50名
講師プロフィール:木戸衛一 (大阪大学招へい教授)
1983年東京外国語大学卒業、1988年一橋大学大学院博士後期課程単位取得退学。2009年ベルリン自由大学博士。一橋大学助手、大阪大学講師などを経て、2023年同大学院国際公共政策研究科教授を定年退職。2000~2001年ライプツィヒ大学、2019~2020年ボーフム大学客員教授。主な著書に『若者が変えるドイツの政治』(あけび書房、2022年)、『平和研究入門』(編著、大阪大学出版会、2014年)

◆第1回 「国是」の前史

開催日:2026年10月16日(金)19:00-21:00
講師:木戸衛一(大阪大学招へい教授)
概要:戦後ドイツの中東政策は、西独が親イスラエル、東独が親アラブという「分業」で成り立っていました。1949年、対占領ドイツ高等弁務官ジョン・マックロイは、戦後(西)ドイツにとってユダヤ人との関係は「民主主義の試金石」と述べましたが、冷戦状況下で「親ユダヤ主義」は反共主義と表裏一体でした。1980年代後半の「歴史家論争」は、ホロコーストの「比較不可能性」を神聖化してしまいました。

◆第2回「国是」の確立

開催日:2026年10月30日(金)19:00-21:00
講師:木戸衛一(大阪大学招へい教授)
概要:2008年3月、アンゲラ・メルケル首相(CDU)はイスラエル国会で、「イスラエルの安全保障はドイツの国是の一部」と述べました。事前のさしたる議論もなしに掲げられた「国是」の下、ドイツは2017年、国際ホロコースト記憶連盟(IHRA)の「反ユダヤ主義」作業定義を一面的に受容し、連邦議会の「反BDS(ボイコット、投資撤収、制裁)運動決議」(2019年5月)など、国内においてイスラエル批判への抑圧を強めました。

◆第3回〈10・7〉後のイスラエルへの「無制限の連帯」

開催日:2026年11月13日(金)19:00-21:00
講師:木戸衛一(大阪大学招へい教授)
概要:ハマスのイスラエル越境攻撃後、ドイツは即座に「イスラエルとの無制限の連帯」を掲げ、イスラエルの過剰な軍事行動が明白になっても莫大な軍事支援を行い、戦争犯罪を容認すらしました。2023年12月、南アフリカがイスラエルをジェノサイドの廉で国際司法裁判所(ICJ)に提訴すると、ドイツは侮蔑的な反応を示しました。翌年3月、ニカラグアがドイツをジェノサイド幇助の廉でICJに告発しても、意に介さずという風情でした。

◆第4回〈反・反ユダヤ主義〉の規範化

開催日:2026年12月11日(金)19:00-21:00
講師:木戸衛一(大阪大学招へい教授)
概要:〈10・7〉を機に、「〈二度と再び〉とは今だ」を合言葉に、国内での〈反・反ユダヤ主義〉が政治社会全般に及びました。パレスチナ連帯運動への弾圧の一方、2024年6月に発効した改正国籍法で「イスラエルの存立権」の容認がドイツ国籍取得の要件となるといった一連の動きは、イスラエルの「犠牲者意識ナショナリズム」に迎合したものに過ぎないことを示しました。

◆第5回 市民社会の反応

開催日:2027年1月15日(金)19:00-21:00 ※日程注意※
講師:木戸衛一(大阪大学招へい教授)
概要:ドイツの市民は、イスラエルの苛烈なガザ攻撃や、国内で基本法第5条(言論の自由)が公然と侵害される状況に強い違和感を示しています。学生は各大学でプロテスト・キャンプを挙行、少なからぬ教員もそれに共感を示しました。また、イスラエルの「ジェノサイド」を非難する文化人も相次いでいます。世論調査では、6割以上がイスラエルの軍事行動とドイツの武器輸出に批判的ですが、それが政治を動かすまでには至っていません。

◆第6回 権威主義国家化へのステップ?

開催日:2027年1月22日(金)19:00-21:00
講師:木戸衛一(大阪大学招へい教授)
概要:ドイツ・エリートの頑なな〈反・反ユダヤ主義〉は、思想信条とは次元の異なる「利権」と無関係でありません。また、「安全保障」を名分にしたイスラエルとの協力は、ロシアのウクライナ侵略以降強まるドイツの軍事国家化・権威主義化を助長しかねません。先般国連安保理非常任理事国に落選したことで、ドイツは普遍的価値をめぐる二重基準から脱却できるでしょうか。


参考文献:講師著「ドイツの〈反・反ユダヤ主義〉のドグマ」藤田進・世界史研究所(編)『世界史の中の「ガザ戦争」』(大月書店、2025年)所収

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