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コースタイトル:荻野富士夫/「満洲国」の治安維持法
コース概要:1932年に傀儡国家として建国された「満洲国」には治安維持法が存在していました。1937年末まで日本の治安維持法が発動されたあと、1941年末に「満洲国」治安維持法が制定・施行されると、反満抗日運動弾圧の大きな武器となりました。その猛威ぶりは、日本国内ではなかった治安維持法による死刑判決が「満洲国」において2000人近くあったことで明らかです。このことは治安維持法の「悪法」ぶりをさらに明らかにするにとどまらず、「キメラ」と称される「満洲国」がどのような国家であったかを知らしめてくれます。
コースメイン画像:関東憲兵隊司令部。左手奥は関東軍司令部。(奈良県立図書情報館所蔵絵はがき「新京名勝十六景」より)
画像2:「満洲国」司法部 Wikipedia(パブリックドメイン)
曜日:水曜日 原則隔週
時間:19:00-21:00
開催方法:オン・オフ開催
-オンライン定員:50名
-オフライン定員:10名
講師: 荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
コーディネーター:
-内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)
- 許美善(恵泉女学園大学院)
◆第1回 関東庁・関東局の治安維持法の運用(1925~1945年)と在満外務省警察の治安維持法の運用(1925~1937年)
開催日:2023年7月12日(水)19:00-21:00
講師:荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
概要:日露戦争後、租借した遼東半島を関東州と呼び、関東庁(のち関東局)をおきます。1925年、朝鮮・台湾と同様に日本の治安維持法が施行され、高等警察・思想検察もおかれ、中国共産党の組織や日本人の共産主義運動に弾圧を加えました。一方、中国東北部には不平等条約に発する外務省警察(領事館警察)が各地に配置され、中国共産党満洲省委員会などへの弾圧にもあたります。「間島」地域では朝鮮人の運動に治安維持法を発動しました。それは「満洲国」建国後もつづき、37年に治外法権撤廃となるまで治安維持法を運用するほか、次回でとりあげる暫行懲治叛徒法なども運用しました。
◆第2回 暫行懲治叛徒法・暫行懲治盗匪法の制定(1932~1935年)
(ざんこうちょうちはんとほう・ざんこうちょうちとうひほう)
開催日:2023年7月26日(水)19:00-21:00
講師:荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
概要:「満洲国」建国後まもなく、中華民国時代の治安法令を踏襲するかたちで、暫行懲治叛徒法・暫行懲治盗匪法が施行されます。1935年頃までは反満抗日運動に対して関東軍を中心とする軍事的討伐が展開されますが、これを補完するものとして盗匪法に規定された「臨陣格殺」と「裁量措置」が頻発され、交戦後の現地での殺害=「厳重処分」がなされました。また、「国憲を紊乱し、国家存立の基礎を急殆若は衰退せしむる目的」での結社組織に対して、叛徒法は思想工作の始動とともに活用されていきます。
◆第3回 暫行懲治叛徒法運用の全開(1936~1940年)
開催日:2023年8月9日(水)19:00-21:00
講師:荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
概要:軍人としては際立っていたわけではない東条英機が1940年代に独裁的な権力をふるう転機となったのは、1935年に関東憲兵隊司令官に就任したことにあります。関東憲兵隊に全満憲警の統制権限を集中させ(警務統制委員会の設置)、思想的工作に重点をおき、暫行懲治叛徒法を駆使して反満抗日運動の地下組織などの摘発に奔走しました。叛徒法の全開を可能にしたのは、並行して「満洲国」思想司法体制を整備確立したからです。日本国内の思想検事らが大量に出向し、「文化討伐」・「司法討伐」を掲げて反満抗日運動を抑え込んでいきました。
◆第4回 「満洲国」治安維持法の猛威(1941~1945年)
開催日:2023年8月23日(水)19:00-21:00
講師:荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
概要:「満洲国」治安維持法は1941年12月末、暫行懲治叛徒法・盗匪法に代って施行されました。「満洲国」の「国体」変革をめざす反満抗日運動・思想が処罰の対象です。万里の長城線を越えて八路軍が進攻し、治安状況が悪化した熱河省西南地区では大規模な粛正作戦が展開され、軍事的討伐に加えてこの治安維持法が、どこでも開廷できて一審かつ終審の「特別治安庭」とのセットで威力を発揮しました。立案と運用の中心にあった飯守重任は、戦後、撫順戦管理所で西南地区粛正工作のみで約1600人を死刑にしたと供述しています。
◆第5回 アジア太平洋戦争期の関東憲兵隊
開催日:2023年9月6日(水)19:00-21:00
講師:荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
概要:関東憲兵隊の1905年創設以来の歴史を素描したうえで、アジア太平洋戦争期の特高警察機能に注目します。防諜の徹底を図り、共産抗日組織への弾圧を連続するだけでなく、「鮮満人」の民心の動向にも眼を向けました。反満抗日運動に関与したとして検挙・取調を受けると、次には軍法会議による「厳重処分」、治安維持法による司法処断のほかに、七三一部隊への「特移扱」としての送付がありました。一部判明する「特移扱」の実態にもふれます。
◆第6回 「満洲国」における行刑・矯正輔導(1934~1945年)と「満洲国」治安体制の崩壊(1945年)
開催日:2023年9月20日(水)19:00-21:00
講師:荻野富士夫 (小樽商科大学名誉教授)
概要:暫行懲治叛徒法・盗匪法および「満洲国」治安維持法は多くの死刑を科すとともに無期を含む長期の徒刑(懲役)を科し、監獄に収容します。その行刑では自給自足を目標とする「監獄特別会計制度」を1937年から実施し、さらに監獄外の企業での強制労働も始めます。43年には治安維持法制定の際に後回しとされた「思想犯矯正法」(予防拘禁に相当)を施行するとともに、労働力確保を目的に浮浪者とみなした人々を矯正輔導院に収容して強制労働を科す「保安矯正法」を施行します。最後に関東憲兵隊や「満洲国」司法の崩壊にふれます。
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